紀伊半島 新宮市 烏帽子山(909m)、光ヶ峯 (686m) 2010年12月29日

所要時間 7:02 高田登山口−−7:27 烏帽子山分岐−−8:45 烏帽子山−−9:16 650m峰−−9:38 大杭峠−−10:15 光ヶ峯 10:36−−11:02 大杭峠から高田方面に下る登山道−−11:38 烏帽子山分岐−−11:55 高田登山口

概要
 高田登山口より半周遊。ほぼ一貫して杉の植林帯が続く。ずっと登山道があるが作業道が交錯し、標識が無いと迷いそう。分岐には標識あり。烏帽子岳山頂は展望はあまり良くなく北側だけ僅かに開ける。烏帽子岳から大杭峠への稜線上には道があるが、けっこう急だし一部道が薄かったり屈曲点に標識がなかったりで初心者には厳しいルートかも。大杭峠は立派な標識あり。光ヶ峯方面の標識もある。光ヶ峯山頂は南西方面に展望あり。日当たりがよく気持ちよく休憩できた。大杭峠から俵石への道はそこそこ明瞭だが杉の落ち葉に埋もれて薄い箇所や作業道分岐も。


 前日午後からの雨で藪が濡れている可能性があり、今日は登山道がある山を登ることにした。新宮周辺ではいくつかそのような山があるが、手ごろなところで烏帽子山を選んでみた。ここはガイドブックに記載されており藪の心配は無いだろう。楽をするなら南西側にある林道を使えばいいが、今はこの冬最強クラスの寒気が入っており、この標高では凍結や積雪の可能性があり二の足を踏んだ。ガイドブックによると那智勝浦と新宮市側の両方から登山道があるが、新宮側の方が標高が稼げるのでそちらから登ることにした。

高田登山口前の駐車スペース 車道終点が登山口

 雨が降るなかを高田向けて走っていくと意外に街らしい集落が登場、そこが高田であった。雲取温泉なる立ち寄り湯(たしか\400)があったので帰りに利用しよう。集落を抜けて直進すると一時だけダートになり、再び舗装道を上がっていくとどん詰まりに到着。ここで舗装が終わって本当の車道終点には登山口標識があった。それには烏帽子山だけでなく光ヶ峯の名前もありどちらにも行けるようだ。地形図を見ると光ヶ峯はさほど遠い所ではなく烏帽子山と組み合わせて登るのも可能だろうと考え、両者に登ることにした。まずは標高が高い烏帽子山に登り、光ヶ峯につながる尾根を伝う。この尾根は地形図やガイドブックには道は書かれていないが、主稜線だから踏跡くらいはあるだろう。まあ、無くても歩ける程度の植生だと考えた。

烏帽子山だけでなく光ヶ峯の文字も 廃林道らしい広い道で始まる

 まだ薄暗い時間に高田登山口を出発。少し分かりにくいが水平に伸びる道ではなく斜めに上がる道が正しい道だ。最初は廃林道っぽい広い道だがやがて細くなって登山道というか作業道らしくなる。延々と杉の植林が続き、花粉シーズンには絶対歩きたくない場所だ。登りは最初だけでやがてほぼ巻き道となって緩やかな状態が続き、現在位置が分からなくなる。たま〜に烏帽子山や光ヶ峯の標識が登場して正しいルートであることが分かる。一帯は作業道らしき分岐が多く、分かりにくい。

この辺りまで来ると人しか歩けない幅 烏帽子山分岐。右に鋭角に上がる

 やがて杉木立の中に点々と廃屋が見られるようになり、これが俵石らしい。こんな奥地だと車は使えないし、生活はほとんど自給自足だったのではなかろうか。その廃屋の一つの横で烏帽子山方向の道が分岐する。ここを分岐せずまっすぐ行くと大杭峠とのことで、光ヶ峯の帰りはこちら方向から戻ってくることになる。

石段が烏帽子山方向。下の道は高田登山口方向 まだ巻き道が続く

 分岐から先も巻き道が続いて相変わらず分岐もあって正しいルートか確信が持てない状態が続き、ポツっと案内標識が出現して安心したりする。たぶん実際の分岐は地形図の破線よりもずっと手前で俵石集落の一角にあったと思う。ようやく登りにかかるがどこの尾根なのか全く分からず、登山道を黙々と歩くだけだ。尾根に乗ったと思ったら谷状の凹んだ所を登ったりで明らかに地形図の破線とは異なる地形だ。

小尾根に上がる。これ以降はずっと尾根を行く シダが茂っている
トラロープ登場 山頂近くは露岩も混じる

 やっと尾根に乗って左に曲がると以降はずっと尾根を行くようになる。まだ植林が続いているが、この分だと山頂まで植林だろうな。俵石までの水平移動の分を取り返すように効率よく高度を上げていき、山頂が近づくと露岩が現れるようになる。トラロープも張ってあるが、それが必要なほど険しいわけではない。

烏帽子山山頂 烏帽子山から北方向を見る

 登りきった最初のピークが烏帽子山山頂で、上空は開けているのだが周囲は立ち木に囲まれて僅かに北側に展望があるだけだった。山頂にはうっすらと雪がへばりついている程度で基本は無雪だった。まあ、これだけ南で海側だとこんなものか。でも雪はまったく解けておらず気温の低さがうかがえる。風も強くて休憩するには寒いし、まださほど疲労は感じないのでそのまま光ヶ峯に向かった。幸い、光ヶ峯へと続く尾根にはしっかりと案内標識が出ており、これまでと同等の濃さの道が下っていた。

光ヶ峯方面尾根の標識 しっかりした道が続く
この先に露岩あり 露岩は左を巻くのが正解
露岩から見た東から南にかけての展望(クリックで拡大)

 下り始めてすぐに大きな露岩が登場、登山道は左を巻いているが露岩上に出ると展望が素晴らしい。とはいえ土地勘ゼロなので山の同定は不可能だった。標高800mを切ると木の幹に掴りながら下るような急な箇所も出てくる。周囲は自然林も混じるがやっぱり植林が多い。

尾根を下る 650m峰
570m肩で右に曲がる 再び明瞭な道を下る

 650m峰で那智勝浦へ下る道が分岐し、その先の570m肩では登山道が右に曲がるのだがここには案内標識が出ていなかった。私は地形図を見て正しい方向が分かったが、この辺りはやや道が薄く、直進する尾根上にも踏跡があって間違いやすい箇所といえよう。それを過ぎれば間違いやすい箇所はなく、淡々と尾根を辿って下っていけばよかった。

最低鞍部 大杭峠

 本当の最低鞍部の490m鞍部は大杭峠ではなく、540m峰に上って下ったその先の531m鞍部が本当の大杭峠だった。ここは南北に明瞭な道が通っており、下山に使う予定の俵石方面は安心して歩けそうだった。まあ、道が無くても沢沿いに下っていけばいいのだが。

登りにかかる 650m峰へと達する尾根に乗り右に進路変更

 植林帯の登りが始まって今まで下りモードだった足に堪える。621m峰を超えて鞍部に下り、650m峰へと達する尾根に乗ると右に直角に曲がる。帰りは直進しないよう注意が必要だが、地形図をよく見たら、帰りはこの尾根をわざと直進して標高460m付近で大杭峠から俵石へ下る道に合流すればショートカットできるし621m峰に登り返す必要がなく効率がいいことに気付いた。今日はずっとまともな登山道ばかり歩いているので少しは道が無い場所を歩くのも楽しいだろうと、帰りはそのルートに決めた。

小さなピークを超える 最後の640m峰は北側を巻く
山頂は近い 光ヶ峯山頂
光ヶ峯から見た妙法山付近

 2つの650m峰を超えて640m峰は北側を巻いてしまう、というかそういう道ができていた。鞍部から最後の登りにかかって植林帯を登りきると光ヶ峯山頂に到着。光ヶ峯山頂はきれいさっぱりではないが開けた場所であり、南西方面に展望があった。日当たりがよく寒い気温の中でも気持ちよく休憩できた。

650m峰から北西尾根を下る 刈り払いありらしい
目的の尾根は踏跡らしき空間がずっと続く 大杭峠からの登山道が見えた

 帰りは予定通り650m峰から北西尾根をまっすぐ下っていく。ここは明瞭でもないが道が存在し、少なからず刈り払ったように見えた。おまけに目印もぶら下がっており、藪も無くて歩きやすかった。ただし私が歩いた尾根以外も目印があるかもしれない。尾根の分岐では方位磁石で進路を確認して下っていった。やがて谷が見えると対岸に登山道を発見、あとはこれを下るだけだ。

大杭峠からの登山道 このシダが西日本特有の藪
俵石の廃屋 段々畑状の植林
この辺から廃林道に まもなく登山口到着

 ここからの水平道が長かった。杉植林で展望皆無だし歩いていて面白みが無いのが残念だ。部分的に道が薄い箇所もある。そろそろ疲れてきて僅かな登りでも息が上がる。やっと烏帽子山分岐を通過、まだまだ水平移動は続く。道幅が広がって下りの傾斜が出てくれば林道は近く、ようやく暗い植林帯から脱出した。

 帰りは高田にある雲取温泉で体を温めた。

 

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